00. 緒言
ここではビックリマンの歴史の基礎, 及びビックリマンの歴史に関わる様々な謎とそれらに関する諸説について解説した. またここではなるべくシール, アニメのストーリーを併記することにしている.
Contents
0. 先史
I. 聖魔の争い
この項はアニメBM2000の次界卵編上の解釈を前提としたものを記載していたが, その後のBM2000のストーリーの進展, とりわけアニメ#65および公式ストーリーによって大きく改定せざるを得なくなっている. すなわちBM2000で語られた世界創造はここに言う世界創造とは異なる事がほぼ明らかとなったのである(ある意味では詐欺に近いと思われるが, そもそもSBMにおける超聖神封印によって世界は崩壊したことが現在の公式ストーリーの立場なので(しかしこれはSBM第9-10弾の扱いに関する問題を残す)当然の事であろう). なお今後もこの項は改定を繰り返すこととなると思われるので最終更新日に注意されたい. 改定後の記事は2nd editionとして掲載する.
1st edition: 遥かなる昔, ビックリマンワールドに万物創造の神, 超聖神が降臨し世界を創造した. 現在アラクネの谷が超聖神降臨の地とされている. この時超聖神は五造大神と呼ばれる5人の神を作った. その一人は次界胎后ノヴァであり, アニメではさらに創造界帝W仏KINGがこれに属し, ノヴァが国を, W仏KINGが心を司り, 後の3人は天, 地, 命を司るとされている(ノアフォームとノヴァとの関連は未だに明らかにされていない). また超聖神降臨の時, 既に創聖使は存在し, 超聖神の世界創造を手伝ったと言われている. なお, 一時期はW仏KINGの役割について諸説飛び交っていたがこれについてはBM2000の所で詳しく考察する. BM2000アニメではW墓戯やシネス皇帝によって超聖神はさらに自らの姿に似せた両属性具有(アンビヴァレンツ)の存在を創り出したが, 悪の属性が善の属性を力で支配するようになったため, 超聖神は両属性具有を聖と魔に分割し, そこから聖魔の争いが始まったとされているが, これは先史〜源層紀〜魔紀元を指していると解釈する限り事実に反する. これに限らずBM2000のアニメで語られる過去に関する伝説には素直に解釈する限り事実に反すると思われる内容が多く含まれており, 検証を要する.
2nd edition:
遥かなる昔, ビックリマンワールドに万物創造の神, 超聖神が降臨し世界を創造した. なお1st editionの記述はアニメのBM2000にて語られた世界創造を旧BMにおける世界創造と同一視した記述であるが, 上述したようにこの前提自体が破棄されなければならないことがほぼ明らかとなったからである. 根拠としては, アニメのBM2000 #65において, 「聖魔和合の後にロココはマリアと合体した. しかし…)」という旨のグリニッジ神官の台詞があり, これと同時にアニメ#42の, 超聖神が両属性具有を二つに引き裂く場面が現れたからである(その時のシネス皇帝の台詞“力あるものが栄えるのは世の常。悪の心は善の心を支配し、更なる力を求めて超聖神に挑んだ。超聖神は怒り、悪魔属性が巨大化した両属性具有を、天使と悪魔のふたつに裂いたという…”). これがFuzzy M.R.の分裂を示したものか否かは不明であるが, 少なくとも#42の問題の場面が旧における世界創造以前の事柄を指していたという解釈は大きく揺らぐ事になる.
超聖神の世界創造の目的はアニメやコミック[3]のSBMでは彼は高い次元の世界の戦士で, 高い次元での戦いに勝利するためにビックリマンワールドを実験の場として創造したとされているが, これには有力な反対説がある. この時超聖神の世界創造を助けたのがナディア, メディア, 創聖使であるとされる. 果たして彼等は超聖神がこの世界に降臨する以前から存在したのであろうか? [3,6(1993)]では魔胎伝ノアもナディア, メディアと共に源層界の神として存在し(創聖使は創聖使影としてアクアンヌーンで生きていると考えられる), 彼女達は後になって初めて超聖神が異世界の戦士アノドで, BM世界を実験場として創造した事に気付く事になっている. よってこれに沿うなら少なくともナディア, メディアは超聖神降臨以降に産まれた存在という事になる.
超聖神にはナーディとメディという二人の女性が使えていた(この二人は共に五造大神と考えられていたが, BM2000アニメ#67に於いて否定された). この二人は超聖神の妻の地位を争っていたが, 最終的にナーディが妻となり, 聖神ナディアとなった. アニメ(新BM)ではより詳しく, 当初メディアが超聖神の妻だったが表層界が火事になった時にメディアが鎮火の為に超聖水を要求されたのに娘のオリンを育てる為に必要だとこれを拒否した事により追放されたことになっている. いずれにせよメディアは曼聖羅に追放され, 異聖メディアとなる. ここでもアニメではもともと曼聖羅は辺境の寒冷の地だったがナディアが自らの力で曼聖羅を住み良い地に変えていた, そしてその為ナディアは若さを失ったことになっている. 一方シールではシールでナーディとメディ(それぞれ第21弾P2, ナディアBW, メディアBWとして登場)が聖ランドを通って過去に来たマルコをパワーアップさせる為に創陽, 創陰パワーボールを作っている途中にナディアは若さを失い, メディアは悪心が芽生えたことになっている. これについては第23弾P2の所でもう一度触れる.
かくして聖神ナディアが超聖神の妻となり, 源層界の神として表層界を創造した. ちなみにこの時から超聖神は直接歴史に現れる事はなくなったようだ. アノド=超聖神という説が専らSBMアニメのみを根拠に支持されているわけだが, これについては後に触れたい. この古代の表層界では未だ天聖界, 天魔界の区別はなく, 天使と悪魔は平和に共存していた. そしてこの頃の住人はシャーマンカーン, ノアフォーム, ヘブン神, 老天使, 魔スターPなど非常に少数である.
聖神ナディアは表層界統治の為に創天爛曼棒で光と影の二人の次神子を創造した. その一人がスーパーゼウス, もう一人がブラックゼウスである. この二人が力を合わせれば永遠の平和が約束されると言われている. ナディアはスーパーゼウスをシャーマンカーンに, ブラックゼウスを始祖ジュラに育てるよう命じたが, 強い悪心と野望を持っていたジュラは自らの野望の為にブラックゼウスを吸収しその理力を吸収し自らの魔力としてしまった. これが表立って語られていた聖魔の争いの根源なのだが, 上で述べたようにBM2000のアニメではそれ以前から聖魔の争いは存在していたと言われているわけだが, これは具体性に乏しいため, 前者に比べて説得力は小さい. また始祖ジュラの反逆には創聖使が関わっているという説もあるが, これも疑わしい. とは言え後のアリババの魔洗礼に創聖使が関わっていることはアイス版シールで明らかにされているので, 創聖使が聖魔戦争の時代から暗躍していても不思議ではない.
ジュラはブラックゼウスを吸収し魔力を高め, 早速表層界を支配しようとした. ジュラに勝てる者はいないと考え, 彼に随うことにした者達(悪魔)は悪事を働くようになった. ジュラに随い, 表層界を支配しようとした者(悪魔)とその野望を阻止する者(天使)の対立が始まったのである. これが旧シリーズでの聖魔の争いの始まりである. ここでジュラの野望に対抗できるものはゼウスのみである. カーンはゼウスに苦しい修行を命じた.
この時, 表層界に大異変が生じた. 天が聖魔の争いに怒るかのように表層界の地表を二つに割ってしまったのである. これによって天使の住む天聖界と悪魔の住む天魔界が成立し, そのかけらが合体してできた世界がお守りの秘密世界, 後のSBMで物語の主要舞台となる天地球である. 新BMやパンゲでは天魔界や天聖界, 天地球の存在をほのめかす情報は殆ど存在しないが, 鬼てんぐの裏には"天魔山"という語が存在する. BM2000では天聖界が登場するが天魔界や天地球は登場しない. そもそも旧シリーズ終了時の天聖界や天魔界, 天地球の変化も明らかにされていない.
表層界は天聖界と天魔界に分裂したが, やはり始祖ジュラ率いる天魔界は天聖界を征服しようとしていた. そして遂にジュラ率いる悪魔軍が天聖界に侵攻し, 天使と悪魔は全面戦争に突入した. これが第一次聖魔大戦である. 当初は天魔界が優勢だったが, 修行から帰って来たばかりのゼウスの指揮もあって次第に天聖界が反撃を開始し戦況は逆転し, 最後にはゼウスとジュラの一騎打でゼウスが勝利し, 天聖界の勝利に終わった. ゼウスはこの功績によって天聖勲章を受賞している. 一方敗れたジュラは力を蓄える為に一旦は眠りにつき, 後に第6弾でシールと共に登場することになる. 戦場となった天聖界の被害も大きく, またその後もしばしば悪魔が天聖界に出没し悪事を働いた. これが次界創造が希求される様になった理由の一つである.
第一次聖魔大戦で敗れた天魔界では, 眠りに就いた始祖ジュラに代わる強力なリーダーが希求されていた. その願いのエネルギーは巨大な悪心となり魔性暗黒ゾーンに集中し, ビックリマンシール上初の悪魔ヘッド(ジュラやノアは後の弾で登場), スーパーデビルが誕生する事となった --- と当初は言われていたが, 後にスーパーデビルはダークマターによって産み出されたという説が広まった. これについては後述する. 彼は力ではなくブラック戒律という宗教的な掟によって支配する. 宗教的な掟と言ってもこのブラック戒律は非常に強力で逆らう者をも無理に従わせる能力を持つ. これに対抗できるのは非常に強力な悪魔ヘッドのみである. 無論その様な悪魔が少なからず存在するからこそ天魔界は派閥抗争に満ちた世界となるわけだが. いずれにせよ旧アニメでは三枚目ないしはオカマキャラとして描かれていたデビルだが, それ相応の実力はあるのである. ちなみにこのブラック戒律はダークマター配下のドラキュロスも使用可能で, それがスーパーデビルがダークマターによって創造されたという説の根拠となっている. ダークマターが諸悪の根源の一つ(この世界では万物創造の神, 超聖神や聖魔の魂の根源の創造者, W仏KINGさえ諸悪を産み出すのである)だという立場に立つなら, スーパーデビルはダークマターの悪の野望の現れと考えるのが自然だろうが, これも絶対とは言えない. それが正しいなら, ダークマターは既にこの頃から水面下で活動を始めていたことになる. また, スーパーデビルは聖魔最終戦争で倒されたことで(これに対応するシールとしてデビルハードとルーツレスデビルがあるのだがその役割は不明)ブラック戒律の能力が無くなったのだが, 2000のカリスマデビルにはブラック戒律の能力はあるのだろうか?これについては2000の項で議論していきたい.
デビルはブラック戒律を使用するだけでなく, 偽神となり(シールでは偽神デビルの名前のフォントまで天使になっていた)天聖界に侵入し自らスパイ活動を行い, ブラック戒律や額の下心テクター(彼が普段額に付けている“悪”の字の下半分)で天使やお守りを悪魔に変え, さらに下心テクター事件として知られる様に, あろうことかカーンまでも悪心に染め, ゼウスと対立させ, 天聖界を分裂に追い込もうとしたが, 成功寸前でカーンの魔無予知シグナルがデビルの接近を察知し(ただしアニメでは悪心に染まる所まで成功しているが異変に気付いたヤマトがゼウスに事情を話し, ゼウスの力でカーンは元に戻る), 危機を逃れた. さらにスパイ活動を続けるデビルだが, 聖フェニックスに発見され撃退されてしまった.
前述した聖魔大戦やデビルのスパイ活動, また悪魔の度重なる侵攻によって天聖界は次第に荒廃していた. その為天使の間では新天地を求める声が強くなり, これに応えて聖フェニックスが誕生した. しかし如何せん彼はシールからも感じられるように非暴力主義であった為悪魔の度重なる侵攻に対応するには限界があった. その為彼は遂に非暴力主義を撤回し, 聖戦衣化を果たした(アニメでは先にマリアがパワーアップ, フェニックスが彼女に攻撃された瞬間聖戦衣化した).
聖フェニックス誕生に呼応し6聖域, およびかつてそれらと同様聖域であった聖幻源, 聖界源が崩壊した夢幻ゾーンでは8人の若神子が誕生(天使 55-60, 69, 83; シールの枚数の関係上, ピーター神子は第6弾(69), 一本釣帝は第7弾(83)で登場)した. しかし彼らは直ぐには次界に旅立つことはできなかった. 彼らの成長を待つ必要があったのである. 一方天魔界では聖フェニックスと対をなす, 次界創造主サタンマリアがノアの悪和合球より誕生した. 彼女の武器は殆どノア一族独自の武器でもある強力な超念魔であるが, 彼女のそれは桁違いに強力である. しかしそれだけで確固たる地位を得る事はできなかった. 聖フェニックスが聖戦衣化したように, 彼女もパワーアップを狙っていたのである. そこで彼女は前述した6聖域にいた老天使(天使 49-54; アニメでは彼らは若神子の師匠という設定になっている. またアイスの第15弾フラワー神帝のシールで明らかにされた様に聖幻源, 聖界源にも老天使は存在したがこの段階で既に故人となっていた様だ)の持つ6聖球に目をつけた. この聖球は一部の悪魔が身につける事によって超理力が超魔力へと逆転する. マリアは部下の, 老天使と対立する悪魔(悪魔 49-54; ちなみに, 第5弾の悪魔には以外にも特別な肩書きは存在しない)に命じて, 老天使を襲撃させる. 老天使達はあっさりと聖球を強奪される. アニメでは悪魔のワナで老天使が温泉旅行に招待され, 温泉に浸かっていた時に石にされ, 聖球を盗まれたという何とも馬鹿らしい展開になっている. ともあれ彼女は6聖球を手にすると共に超理力が超魔力へと逆転し, 彼女はパワーアップを果たした. 恐らく普通の悪魔では理力と魔力が打ち消し合うためこれを利用する事は不可能な筈である. この辺りに彼女が特別な存在である事が示唆されていると解釈する事はできようが, 反後氏が第5弾作成段階でそれを考えていたかどうかは疑わしい. ちなみにノアの悪和合球からはマリアと同時に卑弥太夫(次代(!) 243)も産まれたが, 彼女は聖心を持っていたためスーパーデビルによって封印され, その誕生は聖魔和合を待たねばならなかった.
ここで, 遂に始祖ジュラが復活を果たしてしまった. 一方第1, 2弾で登場していた三すくみから6組が天使, お守り, 悪魔そろって復活(天使, お守り, 悪魔, 61-66)しパワーアップ. 天使は聖卵で武装し, 悪魔は笛で復活していた. ここで天聖界では復活天使の聖卵とその復活天使の一人, クロスエンジェル(英語で書けば元のものと区別できなくなってしまう!)のクロス砲でジュラを爆撃するという手段に出た. 結果, 全弾命中し, 始祖ジュラは破壊されてしまった(悪魔の頂点でありながら, 何ともあっけない終わりかただと思うが). この功績によりクロスエンジェルは女性初の天聖勲章を受賞している. 如何に非現実の世界とは言え, ビックリマンワールドにも性の差別はそれなりに存在するのである. それは登場シール, 特に主要キャラの男性と女性の比を見れば分かるだろう.
しかし, これで全てが終わりというわけではない. 始祖ジュラの中から, 彼に飲み込まれたブラックゼウスが, それも悪魔化して復活したのである. 彼は天聖界に総攻撃を開始, 頭のリングが象徴するようにもともと天使であった彼は額の星から聖魔未分のパワーを持つ虹光波を発射し, 全てのものを破壊できるのである. かくして第二次聖魔大戦が始まった. また, スーパーデビルやサタンマリアも健在である. かくして天魔界の野望は代々引き継がれたのである.
天聖界では天使達が第一次聖魔大戦の教訓から密かに聖ボット, ヘラクライストを製造していた. 彼を創ったのはインプット天使と呼ばれる, 第7弾に登場する12天使で, 彼等の理力によってヘラクライストは動くのである. ヘラクライストは本国で戦うには被害が多すぎると判断したため, “表に出ろ!”という名文句でブラックゼウスに天界山脈での決闘を申し込んだ. 12天使の内の一人でも心が乱れるとヘラクライストはパワーダウンしてしまう為, 一時ヘラクライストの危機に陥ったのだが(アニメでの詳細は筆者の記憶に存在しないが[6]では静女天(天使 84)が悪罠鬼(悪魔 78)に騙されたのだそうだ)結果としてはヘラクライストが勝利. かくしてブラックゼウスは敗れ, 非層に落ちるのだが, 新BMやスーパーでも復活しては悪さをする. 2000では復活するのだろうか?
第8弾の悪魔は魔人1/2と呼ばれ, 番号の小さいものから2体ずつ天魔界の幻, 暗, 重, 底, 邪, 迷の6魔極に属している. 彼等は両者が半分ずつ持っている魔極のアイテムを合わせる事で強力なパワーを発揮するのである(シール画像を参照). そしてこの6魔極の悪魔12体全てが集まる事で驚異的なパワーを持つヘッド, 魔偶王 魔肖ネロを誕生させた. この史上最強の悪魔軍団とも言える彼等が天聖界に侵攻した. ネロの技は魔性般若パワーで, 彼の顔を見ただけでも聖心が溶けてしまう. 天使達はこれに対して全くなす術なく, 天聖界は壊滅状態に追い込まれたが, 最後にはネロが自らの魔限界を超えたパワーを使った為に崩壊, ネロ魔身となり, 如何にも哀れな姿を現す. これは神風にも増した奇跡であると同時に恐るべき皮肉ではないか!我々が自らの限界を超えた力によって滅亡しない事を祈るのみである. しかし, ネロはその後も度々種族を変えながら復活し, 歴史上に大きな影響を及ぼしている. アニメではこれと同時に天聖門を開くために必要な第8弾の天使が集まるエピソードがある. また聖フェニックスがネロを天聖門のバリアーにぶつけたり, ゼウスが復活したネロにパワーを与えながら誘導して最後にネロが自らのパワーの過剰によって崩壊するなど, ネロの具体的な末路が描かれている. ちなみに魔人1/2の持つ魔極のアイテムは次の通り: 魔灯(ロウソクの形をし, 中央に“幻”の字が書かれている), 魔垂(破れた布の形をし, 中央に“暗”の字が書かれている), 魔唖鈴(鉄アレイの形をし, 中央ではなく, 両端の球に"10kg"の文字とともに“重”の字が書かれている. どうせなら"10t"にでもして欲しい気はするが...), 魔貝(貝の化石に“底”の字が書かれている), 魔頭(頭骸骨に“邪”の字が書かれている), 魔パズル輪(球に知恵の輪がくっついた形をしており, 球の部分に“迷”の文字がある. 知恵の輪の形をしているためシールを折り曲げてアイテムをつなげても魔極が出来ず嘆いた経験のある方は少なからず存在するに違いない).
魔肖ネロによる天聖界の壊滅的被害により次界創造が希求されるようになり, また若神子を神帝へとパワーアップさせる為に必要なアーチ天使も揃い, 若神子達も聖儀を完了させ神帝(天使 97-103)へとパワーアップする. アーチ天使は天聖界に残り, パワーを神帝に提供するだけで, 合体はしない. ただし照公子(天使 55)は神帝にパワーアップしない. 彼は天聖界から未知のエリアを光で照らすという使命を持っていたのだ(天使達が次界に到達すると, 彼もパワーアップして次界に来ている). アニメではさらに第8弾の天使全てが揃ったことで天聖門が開いたということもあるが. かくして第8弾までは主として天聖界での戦いを綴ったものだったが, ここから第19弾で聖魔和合が達成されるまでは次界への旅, そして次界での戦いと共に, 戦いの舞台が毎弾(ただし第16弾は幾分事情が微妙だが)進んでいくことになるのである. この弾での舞台は, 次界へ向かう第一の障害, 無縁ゾーンである. このゾーンでの特色は通常の理力が全く使えない事にある. また悪魔達も天使達の次界創造を阻むべく若神子の神帝へのパワーアップに対応して, 若神子, アーチ天使と対立関係にある悪魔(悪魔 55-60, 69, 83; ちなみに彼等には特別の種別はない)と魔人1/2が合体(悪魔の方は合体するのである)し, 悪混鬼(悪魔 97-103)となり, さらに無縁ゾーンの土着の悪魔である魔怪(悪魔 104-108)も味方に付ける. かくして無縁ゾーンでの戦いは天使にとって圧倒的不利であると思われたが, ここで突如, 源層界から聖神パシーが降り注ぎ聖フェニックスからヘッドロココが誕生する. また源層界から聖神の使いであるヘブン士(天使 104-108)もロココ達を助ける為に飛来した. かくして状況が逆転し, 戦況が不利となると判断した悪魔側は悪混鬼の悪魔渦(デビルうず)の合体により魔穴(デビルホール, ヘッドロココの裏書き)と呼ばれる巨大な穴を発生させた(しばしば悪魔渦と混同されるが厳密には区別されるべきだろう). これにより神帝の中で最も飛行力に劣るアリババが吸収されてしまう. ヘッドロココの裏書きにはロココは逃げ出すも, アリババが吸収される絵が生々しく描かれている. もっともあの絵柄はヘッドロココに見捨てられた様に見えなくもないのだが... アリババは新シリーズを迎え, 第21弾に入ってようやく復活したブラックゼウスと違い, 直ちに第11弾で(悪魔として!)復活するのだが, その後ブラックゼウスやネロ以上に複雑かつ数奇極まる運命をたどるのである. 2000では彼と対立していた悪魔, 魔党賊(彼もアリババが魔穴に飲み込まれたおかげでパンゲに登場出来なくなると言う点では哀れと言えよう)が復活した魔党賊リターンのシールの裏書きでその存在がほのめかされているが, 果たして2000では復活するのだろうか? かくして神帝を一人失ったロココ達だが, さらに無縁ゾーンの出口を魔炎が阻むのである. しかし七助(お守り 97-103)が幸七羽毛をヘッドロココに与え, ロココはパワーアップする. これによりロココ達は無縁ゾーンの突破に成功した. また, アニメではこの後, クロスエンジェルがロココや神帝と共に旅をすることになる.
なお, 神帝, 悪混鬼合体のパターンは以下の通り: 56(八魔オロチ, ヤマト王子)+87(夜叉鬼ング, 如面菩薩)→97(八魔キング, ヤマト神帝), 57(魔僧弁慶, 牛若天子)+91(魔井DO, ポンプ大帝)→98(IDO弁慶, 牛若神帝), 58(大魔, 天子男ジャック)+92(断層魔, クリスタル天子)→99(大層魔, 神帝ダンジャック), 59(魔党賊, 騎神アリババ)+88(怪鬼日食, 明星クィーン)→100(怪鬼党賊, アリババ神帝), 60(魔矢, 魯神フッド)+90(わら鬼, レスQ天女)→101(矢鬼, 神帝フッド), 69(魔人フック, ピーター神子)+86(蜃鬼RO, オーロラ王神)→102(フックRO, 神帝ピーター), 83(魔魚, 一本釣帝)+85(逃水鬼, オアシス天如)→103(魚水鬼, 一本釣神帝). また第19弾で登場するフックと同一人物と思われる悪魔, スパルタック(悪魔 226)は蜃鬼ROとの合体は解かれているようであるが, 第26弾P2や第30弾で登場する若神子と敵対関係にあった悪魔のルーツを組むヘッドも対応する魔人1/2の因子は持っていないようだが, これについては後述したい.
無縁ゾーン出口にある悪球エリアに到達したロココ達. ここではあのノアフォームが魔狂期に突入し, 魔胎伝ノアの姿で存在していた. 彼女は悪球によって強力な悪魔を次々と産み出していく. 第10弾の悪魔(番号の小さい方から3体ずつ悪植魔, 悪空魔, 悪根魔, 悪生魔)は全てノアの悪球から産まれたと考えられるが, シールではそのことは明確に記述されていないが, アイス版シールでは悪植球, 悪空球, 悪根球, 悪生球の語が現れていることが明確ではないにせよ, 裏付けとなっている. 第13弾の再生魔鬼(悪魔 151-153)はこの悪根鬼が聖因子を取り込む事によって登場したもの. 裏書きからは必ずしも悪根鬼の変化したものとは受け取れないが外観に悪根鬼の面影が強く残っている(以前は著者は悪根鬼と天使の合体によって生じたと考えていたが最近これは誤りであると判断した). バクテ裏闇(悪魔 115)は[4, 1]で登場している(詳細は失念). かくして第三次聖魔大戦(くれぐれも現実世界では起こって欲しくない名前である!)が勃発する. ロココ達は神帝や聖ウォーマン1/3(天使 109-111), ヘブン士(天使 104-108, 115-117), 遊撃神(天使 118-120)らと共に聖戦士軍団を結成, 対抗するが苦戦を強いられる. しかし最後にはノアの魔狂期が過ぎ, ノアフォームに戻り退却していく(ノアは自ら戦闘をするのではないようだ). かくして第3次聖魔大戦ではネロ襲来と同様, 天使達は神風によって勝利を収めるのである.
次界への道, 次界道の入り口には超悪魔(悪魔 121-123)と呼ばれる3体の悪魔が立ち塞がる. 特に大門魔(悪魔 121)は巨体と門の形をした体で次界道への侵入を防ぎ, 次界門と呼ばれていた. この“次界門”はあまりの巨大さに一時は突破不可能と思われていたが, ここで第10弾の遊撃神3人が一時的にパワーアップし, 有限時増力神童となり, また水かける蔵!王, 金太神, クロスエンジェルがパワーアップし, 次界必達天使, 橋かける蔵王, 聖金太魁, アローエンジェルとなり, 有限時増力神童と共に超悪魔に挑み, 最後には聖金太魁が次界門をこじ開けた. こじ開けたと言う事はその後も大門魔は次界道の入り口で生き続けたのだろうか? 一方ゴードン神, 魔スターP(これは次の弾で名前が明らかになる)とその配下のゴードン師(悪魔 124-126)が合聖妨害の為飛来, 結局合聖妨害はならなかったが, 聖刺格神(天使 124-126)を打ち破った事で名声を得た. [4 2]では竜眼師(悪魔 125)は散々な目にあうのだが.
ここで神帝達に新たなる災難が待ち受ける. サタンマリアが魔狂期を過ぎたノアのパワーでワンダーマリアにパワーアップし, 死んだと思われていたアリババ神帝を超念魔によって(後にアイスで創聖使が関わっていたことが判明するが, マリアがその事を知っていたかどうかは不明)ゴーストアリババとして復活させる. そしてゴーストアリババがロココ達に襲い掛かってきたのだ. アリババと戦いたくない神帝達は奪還を試みるが失敗. ところがここで謎の創聖巡師, 聖梵ミロク(次弾登場)の聖弾流によりゴーストアリババはアリババ神帝として復活してしまう. またしても神風来襲なのか? 当時は創聖巡師の意義は不明だったが, 後に曼聖羅から閏源歴(この時が来ると曼聖羅は滅ぶと言われている)に一度飛来し, 新たなる曼聖羅の候補地を探る為の存在だと分かる. かくして聖弾流は偶然アリババに的中したに過ぎなかった事が分かるが, 同じ曼聖羅に味方していた創聖使が魔洗礼に関与していたこととは比較してみるべきだろう. ひょっとしたら聖弾流降下も偶然ではなかったのかも知れない. ちなみに[4]ではゴーストアリババは幸運な事にマリアの冗談で終わっている(2(1990), 88).
この他, この弾ではデビリン族(悪魔 127-129) v.s. 聖ウォーマンの戦い[6]がある. 結果は聖ウォーマンが勝利したが, 歴史的にも珍しい女性対決と言えよう. アニメ, 第47話ではデビリン族が気に入らないワンダーマリアをヘッドロココ達と共に魔湿地帯へと落としてしまうというエピソードがあるが, デビリン族とワンダーマリアの間が上手く行っていないというのは, 第19弾でデビリン族は合体しスネベ魔V(悪魔 223)という一人の悪魔になる時にシヴァマリアではなく, リオコーン(悪魔 225; ←魔スタリオス←魔スターP)の配下になっていることにも現れているのだろうか? さらにアニメ, 第52話では魔落鬼(悪魔 130)がお守りや天使と共存し, 一本釣神帝の怪我を治したり, 次界への近道をみんなの為に掘ったりしていたというエピソードもある. ちなみに彼を含め, 悪魔 130-132には特別の肩書はないが, シール本来の役割としては次界道で天使の進行を妨害することであったと考えられる.
ところで幻神はオーロラ幻神から順に聖神剣, 聖神鏡器とよばれるアイテムを持っている. クリスタル幻神の裏に現れる“聖神器”はアイテムの総称とすべきであろう. これは後の第13, 17弾のストーリーを考える上で重要となる.
次界への最後の難所, 螺エリアに魔スターPが現れた. 魔スターPは実は古聖紐(魔スターPの裏書き)もしくは古聖縛獣衣(こせいバインドじゅうい; 第17弾P2ヘッド, 魔スタリオスの裏書き)で体全体を封じられた(文字どおりの“紐”の姿も残っている)状態である(アイス版魔スターPのシールを見ると, 元の姿は第17弾登場の魔スタリオスと同じ様である). 具体的時期が不明な為, 先史の所では触れなかったが彼はかつて, 超聖神に反乱を起こした為, 古聖紐で力を封じられたのだ. 彼の配下, ゴードン師もかつて超聖神に古聖紐で力を封印されていたが, 魔スターPに古聖紐を切ってもらった(彼自身の物は魔紀元神器でないと切れなかった)為, 彼の配下となっていたのである. 天魔界は彼に協力を要請. アニメでは古聖紐を断ち切る事の出来る魔紀元神器を条件にマリアから協力を依頼される. かくして魔スターPがゴードン師II(悪魔 142-144)を連れ螺エリアに現れるたのである. また魔ニマル種(悪魔 133-135)がブラック戒律を受け, 登場. アニメでは彼等が魔スターPを倒そうとするが, かなう筈も無く敗退している. また粘奴(悪魔 134)は[4 2, 174-177]でデビルの命によりロココとマリアを殺そうとするが, 失敗している. 魔スターPの襲来に対し源層界では聖核殿命で野聖エルサMを螺エリアへ向かわせる. 野聖エルサMと魔スターPの戦いは野聖エルサMが勝利し, 魔スターPは退散するが, 後に第17弾P2で魔紀元神器により魔スタリオスとなる. また, ここでゴードン師IIに対抗して送られたコネクション天使(天使 142-144, これまでに登場した天使のいずれかと血縁関係にある)のうち, 神光子は照光子とは双子関係で, アニメでは照光子と彼が協力して次界への道を照らした. さらにヤマト神帝は野聖エルサMから螺エリア突破の方法が記された聖典を受け取り, 次界への入り口に到達するが, アニメではワンダーマリアが次界への入り口に六魔穴を仕掛け, ロココや神帝, 神光子, アローエンジェルを聖域にワープさせてしまうが, 最後には六魔穴が崩壊する. こんな話題を入れるくらいなら第15弾以降のストーリーをもう少しまともにアニメに入れるべきだと思うのだが. ともあれロココ達は次界へ到達したのだ. また, 螺エリアももともと悪魔が創り出したエリアの為, ロココ達の次界到達とともに消滅したようだ.
Last updated in Feb. 21. 2001. Tomohiro Yamada / y64k@chive.ocn.ne.jp